クリエイターインタビュー achabox/あちゃぼっくす

直感と行動力で突破し続けるインディーゲームクリエイター

ゲームクリエイターを目指し、京都精華大学へ入学。その後、映像クリエイターに。

とにかくゲームの世界が大好きで、高校の時に、ゲームを作りたいと思っていたAchabox氏。一番大好きなゲームメーカーの任天堂に入社するためには、まずは自身のポートフォリオ(作品集)が必要であるということを知った。そこで、同じ京都にある美術大学である京都精華大学に入学することに。実は入学する前、大学の教務課を突撃で訪問し、卒業生のポートフォリオを見せてもらったことがあった。その時知ったのは、そもそもポートフォリオというものは「絵」だけでなく「動画」も含まれるのだと。その時、入学したら動画を作ろう!と決意したのが、その後の動画作りのきっかけになった。

本格的に動画が楽しいと思い始めたのは、入学してすぐに先輩のミュージックビデオ制作のお手伝いしたあたりから。さらに大学内で、博報堂のディレクターがゲスト講師となる授業を受けて、動画広告というジャンルにも興味を持ちはじめた。

初めてのMV制作では、撮影に使える教室を紹介してもらったのはいいが、撮影のためにと壁を白く塗ってしまって怒られたりもした。学科が違うと使えない撮影スタジオなどのルールに疑問を感じ交渉も行い、それがきっかけで、今では誰でも使えるようになったという。出演者、小道具を作れる人など、学校中を駆けずり回って制作スタッフに声をかけて作っていった。

初めて作ったMV

結果、動画制作にのめり込み、卒業制作でもミュージックビデオを作ることに!

ARを使って再生されるMV制作

ARを使って再生されるMV制作
ARで再生できるMVを作るなど既に実験的な取り組みをしていた。
卒業制作で作ったミュージックビデオがこちら。

spoon+ 【イチゴオンザショートケーキ】PV

学生時代は、さまざまな作品を作り、試行錯誤していたことがうかがえる。

そこから、映像作りに熱中し、制作を継続、卒業後すぐにフリーランスになることを選択した。
最初は、ゲームクリエイターになりたいと意気込んでの京都精華大学に入学したにもかかわらず、映像クリエイターになった理由をAchabox氏はこう語る。

ゲームが好きすぎて、ゲームをやり出すと大学の課題をやれなくなる。だから学業に専念するためにゲームを封印した。結果、意識がゲーム以外のことに移っていった。現在のようなゲームクリエイターになるにはもう少し後の話。続きは次のトピックでお話ししましょう。

BITSUMMITでゲームの世界に衝撃的再会、インディーゲームクリエイターになる!

映像のクリエイターで生計を立てながら活動している時、京都府のBITSUMMITの記録映像を撮影する仕事が舞い込んできた。クリエイター取材を通して、クリエイターの熱い想いと、そして海外からやってきた見たことのないゲームの数々を見て、Achabox氏は目覚めた。自分がゲームを作りたいと思っていた、かつての高校の時の自分の思いが。すでに卒業後、5〜6年経っていた頃である。

◆卒業後のお仕事作品
映像を中心にイラストのお仕事なども受けていた時のものです。
キュウネコカミ タイマンツワーの出演者ドット絵 (その他ライブ動画に使用されたもの)

クウチュウ戦『インドのタクシー』MVのアニメーションのドット絵を制作

クウチュウ戦『インドのタクシー』MV

パノラマパナマタウン リバティーリバティー MV 美術・撮影

パノラマパナマタウン リバティーリバティー MV 美術・撮影

コシュニエ『ペリカン号でどこまでも』MV/監督・美術・撮影
コシュニエのアルバム「パズル」の撮影・美術

THE BOY MEETS GIRLS 『おさるのジョニー』 MV 監督

そして、ゲーム会社のデバッカーアルバイトなどを始めつつ、ゲーム会社への入社のお誘いも受けつつ、ちょうど映像の仕事も回り始めている頃。ゲーム制作の道に進むべきか、このまま映像制作の仕事を続けるべきか、非常に迷っていた時期。結局、ゲーム作りへの思いは消えず、全てのゲームイベント、ゲーム勉強会に参加したり、ゲームジャムなどに参加しつつ、映像の継続していた。

キュウソネコカミ『ゲーマーズハイ』BGV/「DMCC REAL ONEMAN TOUR-EXTERA‼︎
@インテックス大阪・幕張メッセ
メンバードット絵・アニメーション制作


THE BOY MEETS GIRLS『アイスクリームポップスター』MVの監督・撮影

ハロウィンイベント『二条ハロウィン』のキャラクターイラストを制作

実は映像制作の仕事と並行して、卒制で作った映像の大道具であるショートケーキを、鴨川に置いてピクニックするという活動をしていた。そこでテレビなどのメディアに取り上げられるなど、いろんなクリエイターや人との出会いがあった。

ゲーム会社であるroom6の代表の方との出会いも、そのピクニックの活動を通じてだった。

ゲーム作りへ踏み切るため、彼にTwitter DMで連絡。ちょうど制作中『サリーの法則』の映像作りを依頼され、ゲーム会社でのキャリアを本格的にスタートさせた。

『サリーの法則』

room6には本当に魅力的で面白い人がたくさんいたのでゲームジャム実施を提案。
そこで生まれたのが今回のARアート作品で使用した『ことだま日記』の原型が誕生。
そこから1年かけて開発し、初のゲームをリリース。それと最初に映像作りで関わった『サリーの法則』と『ことだま日記』を同時リリースし、ゲームクリエイターとして第一歩を踏み出した。現在は『ことだま日記』もポラリスエックスさんと一緒に運営を継続している。

着実にroom6と個人の制作で経験を積み、満を持して、コンテストに応募したのが、現在開発中の『シュレディンガーズ・コール』である。集英社ゲームクリエイターズCAMP オリジナルゲームコンテスト GAME BBQ vol.1 で大賞を受賞。現在リリースに向けて集英社ゲームズの支援を受けながら、開発を継続している。 

同じタイミングでroom6ゲームジャムで生まれたゲームタイトルなども、ゲームコンテストを受賞する。

AR・XR・メタバースとゲームがつながってもっと面白くなる世界へ

Achabox 「体験してみて、とても楽しかったです。今までのことだま日記でもやってことのない新しいチャレンジだったので、ことだまユーザーさんにも喜んでもらえたら嬉しいなと思い取り組みました。もともとことだま日記のキャラクター達は2Dで表現予定だったのですが、今回の制作サポートをしてくれたトーチカさんが「3Dにしたほうが良くなると思う」と提案してくださってさらにグッとクオリティがあがりました。また本当に京都の街にことだまっち達が舞い降りた感じを表現できたのがとても嬉しかったです。
遠方から来てくれた方もいたこともすごく嬉しかったです。もっと多くの人に手軽に楽しんでもらえるように、何かのお祭りに絡めるなどの仕組みがあれば今回のようなイベントもさらに広く知ってもらえるのではないかと感じました。」

ワコールスタディホールでのARアートの様子
ワコールスタディホールでのARアートの様子
京都タワー下交差点

Achabox 「現実世界と繋がっていておかしくないキャラクターの世界観次第で利用できるものは多いと感じています。実際にキャラクターをタップしたり、さすって、喜んだ結果、ハートが溜まって何かに使えるなど。ARが現実とリンクして、ゲームができるのではないか。回答分岐型で実際にゲームの世界に入っているような感覚で誘導してくれたり、突然現れたりすると良いなと感じています。
今回は、アートのイベントでアートのファンはくるのは当たり前ですが、例えば、別のリアルイベントとリンクさせることでもっと広がるはず。さらにそのイベント自体を楽しむ要素を追加してあげると魅力的だと感じました。」


今回、取材した結果、正直に行動する力を持っているということであろう。
またやってみないとわからない。やった結果をしっかり考える。に尽きるように感じた。
好きを実現する。そう簡単なことではないが、Achabox/あちゃぼっくすの行動は結果は後からついてくるという考えに終始するよに感じる。

あれこれ考え出すと必ず、不安や迷いなどが訪れるだろう。
なかなか一歩を踏み出せないでいる多くの方には、Achabox/あちゃぼっくすさんのこの行動を参考にすると良いだろう。

取材・記事:株式会社Skeleton Crew Studio 石川武志